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逃避行 その弐

静内町は、数多くの名馬や天馬トウショウボーイを生み出した事でも知られるサラブレッド生産地域だ。祖母の家から500mほどの牧場でも昔から馬を繁殖させている。
朝方に馬房から出された馬たちは、のんびりと散歩兼食事へと繰り出す。

そこに向かって僕が『ホーッ♪』と呼ぶとサービス精神旺盛な一頭が柵越しに挨拶をしてくれた。近寄ってきたのは艶やかな鹿毛の人懐こく若い牡馬。
顔を寄せ、何度も僕の匂いを嗅ぐと『触ってよ!』と言わんばかりにピタリと動きを止める。その思いに応えるように僕は彼の頬、鼻筋、鬣、胴回りを優しく、そして力強く撫でさせてもらった。

法事の準備に追われる中、ひとときの癒しをくれた友人に再会を誓うと、互いにゆっくりと背を向けて深い溜め息をついたのだった…。



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